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第4回「色彩知覚効果」
財団法人日本色彩研究所 名取和幸 小声で言いますが、多くの色票を用意すれば、誰にでも構造物の色を選ぶことはできます。けれども、その色使いが本当にめざす外観イメージに適合しているのか、また誰にとっても見つけやすく読みやすい表示になっているのかなどは、色彩計画の専門家でなければ説明することはできません(実のところ、それをきちんと説明できるかどうかが大事なのですが……)。 専門家による色彩の提案は、さまざまな色彩データや色彩理論を援用して行われます。今回はそうした色彩データのうち、色の組み合わせや色の大きさなどにより、色がどのように見えるかという「色の知覚効果」のことをお話ししましょう。 〈サイン表示にとくに重要な知覚効果〉 また、目立つはずの赤い企業マークも、ブラウンのレンガを背景にすると遠くから認めることはできません。背景と対象の明るさの差に目を向け、明るさの違いが大きな色を組み合わせるようにします。明るさでコントラストをつけるというのは分かりやすくするための大原則の一つです、そうしておけば、高齢者の方も、色覚異常の特性を持つ人であっても、そして誰にとっても認めやすく読みやすい表示を作ることができます。 図の色の見え方も周囲の色から影響を受けます。明るい背景だと実際よりも図は暗く、暗い背景では明るく見えますし、背景色との関係で色合いも変化して見えますので、こうした対比現象にも注意を払うことが必要です。 〈外装色の選定に重要な知覚効果〉 というところで紙面が尽きました。最後に声を大にして言いましょう。知覚データをあなどるなかれと。
面積効果変換カラーアトラス(日本建築学会「建築の色彩設計法」2005より改変)
2005年10月12日付『建設通信新聞』より
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