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私の景観論

 「街中がせせらぎ事業」で、2005年度に都市景観大賞「美しいまちなみ大賞」、国土交通大臣表彰「手づくり郷土賞」を、「街の水の仕掛け」と「宮さんの川とほたるの里」で、静岡県都市景観賞を受賞した三島市。富士山からの豊富な湧水と、三嶋大社などの歴史的建造物とそれを取り巻く豊かな緑などのアメニティ資源を生かし、小池政臣市長は、歩きたい街、住みたい街の実現をめざす。

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 小池市長は環境先進都市を掲げ続けてきた。その原点は、63年から64年にわたって起きた、石油コンビナート建設反対運動にあるという。「全国で初めて反対運動が成功した例」であり「市民の環境に対する思い入れが強い」ことが、改めて実感させられた事例でもある。「石油コンビナートができれば、空気だけでなく景観も悪くなる」との思いが、今の景観行政の出発点になった。

■富士の湧水生かすせせらぎ事業展開
 同市は、富士山とそこからの豊富な湧水、1300年の歴史を持つ三嶋大社、小松宮別邸だった楽寿園などが、市の中心部にある。これらを生かした「街中がせせらぎ事業」を市がスタートさせたのが01年7月。

 「せせらぎと緑あふれる庭園のような街をみんなでつくろう!」をスローガンに、▽街の顔の景観づくり▽歩きたくなる道の景観づくり▽親しみのある川づくり▽歩きたくなる「案内」づくり▽街の水の仕掛け事業▽小さな博物館づくり??などを、5年計画で進めた。

 なかでも親しみのある川づくりでは、蓮沼川(通称・宮さんの川)、源兵衛川、御殿川、桜川、四ノ宮川の川沿いにプロムナードを整備。源兵衛川には、川中に置き石を配置し、そこを歩くことで、清流と触れあえるようにした。水を使ったからくり仕掛けや庭園風の整備など、街に彩りを添え、歩いていて楽しくなる仕掛けを、プロムナード沿いに設置、歩くことが楽しくなるような工夫も凝らされている。また、歩きたくなる道の景観づくりとして、鎌倉古道や下田街道沿線の修景整備事業も実施した。県が実施する電線地中化にも、樹木の移植や水道管の移設などの面で積極的に協力している。

 これらの事業は、事業化する前の段階で、何度も市民会議を開き、そこで出た意見を反映する形で決めていった。その、大きな成果として挙げられるのが「アダプトプログラム(里親制度)」の導入だ。「事業完了後のフォローとして、大いに役立っている」と評価も高い。JR三島駅南口の清掃活動などで、この制度は生きている。

■三島山田川沿いの棚田復活に意欲
 新たな事業としては、三島山田川の環境整備を進める。小池市長は「川沿いに棚田があったのだが、それがうち捨てられていた。それを復活したい」と意欲を示す。「市民農園、ヘルパー農園として利用する。市民にとっては農作業を通じて収穫の喜びが味わえるだけなく、健康食品が得られることになる。周辺は、住民のジョギングや散歩コースにもなる」とも。

■複合ビルや放送大学駅北口は変貌遂げる
 また、JR三島駅北口整備も終わった。ユニバーサルデザインを取り入れ、だれでもが安心して利用できるよう配慮した。複合ビルを2棟建てる計画が持ち上がっているほか、県の単位制定時制高校や放送大学も設置される見通しだ。これらの事業を通して「北口は変貌を遂げる」と見る。駅の南北をつなぐ自由通路もつくりたい考えだ。

 気候・風土のよさもあり、近年、人口が急激に増加している。それに伴い、マンションが数多く建設されている。「残すべき景観は(どうあっても)残していくことで(市民と)合意した」ことから高さ規制の導入も視野に入れている。「三嶋大社を中心に何百mの範囲は、高さ何m以下にするということを研究していきたい」考えだ。

 同市は、伊豆の国府が置かれた街であり、伝統文化が息づく「水の都」である。その「水の都」と呼ばれるにふさわしい景観づくりは、今後も続けられていく。

2006年10月2日付『建設通信新聞』より

歴史的建造物など
アメニティ資源活用
三島市長 小池政臣
富士山からの豊富な湧水が街を潤してきた。市内を流れる清流「源兵衛川」には置石が配置され、100年前の伏流水と触れあえる
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