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ことし4月、全国で15番目の政令指定都市となった堺市。市内には世界最大の墳墓・仁徳陵古墳があり、堺港は中世には海外との交易拠点として栄華を誇った。茶の湯の始祖・千利休や情熱の歌人・与謝野晶子なども堺のまちが生んだ文化人だ。木原敬介市長は「自由都市・堺 ルネサンス計画」と名づけたまちづくり指針に基づき、政令市移行を契機に、歴史と文化を生かした都市再生や景観形成に意欲を見せる。めざすのは「オンリーワンのまちづくり」だ。 ◇ ◇ 都市の風格と魅力づくりにとって、良質な都市景観の形成は重要な要素だ。堺市でもこれまで景観条例や、景観基本計画策定などに取り組んできたが、景観法の制定を受けて「さらに堺の個性と魅力に満ちた、景観の創出と保全を展開していきたい」と話す。 良質な都市景観の形成においても「政令指定都市移行は絶好のチャンス」と見ている。風格があり、魅力と活力溢れる「新しい自由都市・堺」の再生を掲げる「ルネサンス計画」に基づく、まちづくりをスタートさせたばかりだ。まちづくりの主要な取り組みとして「歴史文化資源の活用」「中心市街地、臨海部の再生」「LRT(次世代型路面電車)整備」の3つを挙げる。 ■市民に開かれた『仁徳さん』めざす 仁徳陵のことを、木原市長をはじめ地元の人は親しみを込めて「仁徳さん」と呼ぶ。水と緑の豊かな古墳は、堺を象徴する貴重な景観の一つであり、まちづくりの核にもなり得る。だが天皇陵は宮内庁が所管しており、立ち入りなどについては従来から厳しく規制されている。「市民のためにも開かれた『仁徳さん』をめざしたい。克服すべき課題は多いが、会議のなかで年度内にも中間報告的なものをいただきたい」 市内には都市再生本部指定の緊急整備地域が3カ所ある。このうち堺のまちの「玄関口」となる堺東駅西地域内の市街地再開発は、06年度中の都市計画決定をめざしている。堺らしい文化の創造・交流・発信のための新拠点として文化芸術ホールを整備する予定で、「豊かな文化との出会いの場」としての役割を担う。また臨海部では、新日鉄の敷地のうち海に面した約31haに西日本最大規模のホームセンターなどが出店する商業施設「堺浜シーサイドステージ」がことし3月オープン。こうした都市再生を展開させつつ「ネットワーク化」を図ることも大きな課題となる。 ■地域の実情にあったLRTに多くの期待 このほかにも堺のまちの歴史と文化を紹介する「文化観光拠点」の整備、古墳群や歴史的まちなみの残る旧市街地をめぐる観光レンタサイクル・周遊バスなども推進している。「地域の特色を生かした、それぞれの地域に見合ったまちづくりがあるはず」。堺市の人口は約83万人と、政令市としては決して規模は大きくない。だが東京や大阪のような大都市とは違う、堺の歴史文化を軸とした独自の魅力を見い出すことが「オンリーワンのまちづくり」であり、まちの魅力と風格を向上させると、木原市長は確信している。 2006年6月20日付『建設通信新聞』より
歴史文化軸に
オンリーワンのまちづくり
堺市長 木原敬介氏
仁徳陵古墳を始めとする百舌鳥古墳群は、堺のまちの長い歴史を今に伝えるシンボルの一つ(右上が仁徳陵)
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