美し国づくり景観大賞マーク

第1回美し国づくり景観大賞特別賞受賞
美し国づくり景観大賞マーク

景観に配慮した防護柵の設置による
道路景観の形成

国土交通省 東北地方整備局 企画部 企画課
第1回美し国づくり景観大賞【特別賞】

国土交通省 東北地方整備局 企画部 企画課 他

「美し国づくり景観大賞」 審査評

国交省東北地方整備局と東北6県1市は、すぐれた自然景観を阻害してきたガードレールを廃止、新規に「道路付属物のデザイン検討委員会」(平成8年)においてデザインコンペを経て、実車衝突実験にも合格した「景観配慮型防護柵」を設置してきた。材料、形状、色彩などで、周辺の湖水や山並みなど美しい観光風景を阻害しない新しい柵は、670万haに及ぶ東北6県全域の国道、県道の道路景観を改善し県民の景観意識を大いに啓発した。或る面、小さな工夫のようであるが「景観美は、細部に宿る」ことを多くの人々に、実に明確にに理解させた大きな功績といえよう。「美し国・日本の観光立国」における要諦、関係者にその心構えを示唆してあまりある重要な取組みとして高く評価したい。

目的

安全という機能を中心とした従来の車両用防護柵に加えて景観も配慮した防護柵 の設置による道路景観の形成。

地域の概況

取り組みが行われている東北地域は、奥羽山脈などの南北に連なる山脈、北上川などの大きな河、陸中海岸国立公園に代表される長い海岸線、十和田湖なとのたくさんの湖等があり、四季折々に美しい自然環境を有している他、各地域にはそれぞれ異なる個性ある歴史、文化、風土が根付いている地域である。

情報

範囲
東北地域(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)
規模
670万ヘクタール
開始時期
平成10年度から本格実施(H9.12 から試験的に設置:秋田県田沢湖、宮城県松島、 福島県久之浜、山形県温海)
実施期間
平成10年度から継続実施中

経緯

・防護柵ビームにパイプを使用した防護柵については、平成8年度に旧建設省東北地方建設局の発案で、安全性を中心とした従来の車両用防護柵に代えて、景観も配慮した車両用防護柵を提案する為に、『道路付属物のデザイン検討委員会』が発足され検討が実施。
・翌平成9年度に、基本デザインに基づく新車両用防護柵のデザインコンペが開催され、23社35案の応募があり、審査の結果、基本デザインへの忠実性、技術内容等からデザインが決定され、実車衝突実験などを経て平成10年度に製品化され、実道への導入が開始。
・平成16年度、国土交通省道路局より「防護柵の設置基準の改訂」の基準改定文書により、「色彩は良好な景観形成に配慮した適切な色彩とする旨」の通知が発出。

景観の創生、再生の取組み前の景観状況

  • 国道49 号 福島県耶麻郡猪苗代町(猪苗代湖周辺)
    白色ガードレールにより沿道景観の展望性阻害発生

白色ガードレールの視野内に占める専用率が高く圧迫感があり、良好な沿道景観の展望性を阻害 している。

景観の創生、再生の取組みによる現在の景観状況

  • 国道49 号 福島県耶麻郡苗代町(猪苗代湖周辺)
    沿道風景にマッチし、沿道の展望性に優れる

1.良好な展望性快適性と視線誘導性:ビームにパイプを使用し、適度な間隔をとっているため展望性 にすぐれ、走行中の圧迫感を減少している。またビームパイプによる視線誘導性にすぐれている。
2.美しい形状:道路に沿って平行に走るビームパイプは周囲の風景によくマッチし道路の景観を引 きたてている。
3.排雪性にすぐれる:吹き溜まりをつくらず、除雪作業も容易で積雪地に適している。

取組み地域の位置図及び写真の撮影位置・方向

ビフォー・アフターに見る景観向上の成果のアピール点

1. 良好な展望性快適性と視線誘導性:ビームにパイプを使用し、適度な間隔をとっているため 展望性にすぐれ、走行中の圧迫感を減少している。またビームパイプによる視線誘導性にす ぐれている。
2.美しい形状:道路に沿って平行に走るビームパイプは周囲の風景によくマッチし道路の景観 を引きたてている。
3.排雪性にすぐれる:吹き溜まりをつくらず、除雪作業も容易で積雪地に適している。

景観の創生、再生の取組みの特色・工夫

東北地域は、奥羽山脈などの南北に連なる山脈、北上川などの大きな河、三陸復興国立公園に代表される長い海岸線、十和田湖なとのたくさんの湖等があり、四季折々に美しい自然環境を有している。また、各地域にはそれぞれ異なる個性ある歴史、文化、風土が根付いている。今後の余暇活動としての国内観光、インバウンド観光の進展に対し、道路施設の更新、新設に当たって、必要な区間に対して継続的に取り組みを実施する。

  • 庄内海浜県立自然公園を通過する国道7号へ設置
    庄内海浜県立自然公園を通過する国道7号へ設置
  • 三陸復興国立公園を通過する国道45号へ設置
    三陸復興国立公園を通過する国道45号へ設置

景観の創生、再生の取組みによる波及効果

観光客等を中心に、駐車帯等を活用し、地域の良好な景観に対する誘導が図られている。

  • 駐車帯等を活用し、地域の良好な景観に対する誘導が図られている
    駐車帯等を活用し、地域の良好な景観に対する誘導が図られている

今後の取組み

防護柵の更新、新設等の機会を踏まえ、良好な景観形成を図るべき箇所への継続的設置を図る。